日本一の地下水都市をめぐる
環境省の名水百選に選ばれている湧水群を巡るコースで、所要時間は2時間半程度、車での移動になります。基本的には車はお客様で準備していただきまして、ガイドが同乗する形になります。(別途、交通費をお願いする場合があります)
水前寺成趣園は阿蘇からの伏流水
水前寺成趣園では、阿蘇西麓からの伏流水が渾々と湧いており、その湧水を生かした日本庭園をお楽しみいただけます。
また京都から移築復元された「古今伝授の間」も貴重なものです。後陽成天皇の弟、智仁親王の学問所が「古今伝授の間」で、細川幽斎は智仁親王に古今和歌集の奥義、秘伝等を伝授されました。(2016年の熊本地震で池の水は一時的に枯れた)
江津湖公園は阿蘇からの伏流水
江津湖は熊本城から南東におよそ5kmほどの距離にあり、大きさは、長さ2.5km、周囲6km、湖面の面積は東京ドーム10個分(50ha)もあります。加勢川の一部で中央部がくびれたひょうたん型をした河川膨張湖で、上江津湖と下江津湖からなり、下江津湖は上江津湖の3倍の大きさです。江津湖はなんと全て阿蘇からの伏流水です。阿蘇の西麓から江津湖まで20年かかるといわれています。湧水量は日に約57万トンで、水温は年間を通じて18度くらいです。
市街地の中の湧水の存在は日本でもまれな存在で、大昔から湧水の豊富な沼状の低湿地帯でありました。平成7年の環境調査では動植物600種を確認しました。その内訳は、植物が非常に多く400種、野鳥は鴨などの水鳥を中心に130種、魚は40種、昆虫は32種となっています。平成13年環境相から重要湿地に選定されました。
浮島さんと六嘉湧水群
浮島神社を取り囲むように池があり、それが島が浮いているように見えることから、地元ではこの水源地のことを「浮島さん」と呼んで親しまれています。どんな洪水のときにも浮島神社が水につかったことがないことから、「浮き島なり」と称されたとのことです。浮島の湧水量は日量15万トンで、六嘉湧水群の代表的な存在です。(六嘉湧水群はこの地区にある13カ所の湧水地の総称となります。)
浮島の湧水は、この地区に広がる水田地帯の重要な灌漑用水としての役割を担っています。平成22年6月にはため池百選にも選ばれました。ここ嘉島町は1.5mも掘ると水が出るので、町に上水道は整備されていません。浮島の近くには、世界的な飲料メーカーのサントリーの大工場もあり、嘉島町の豊かな地下水の証明ともいえるのではないでしょうか。
嘉島湧水プールは子どもと魚がいっしょに泳ぐ
浮島さんから700mほどのところに、天然の湧水を生かした屋外プールがあり、夏は多くの子ども達で非常に賑わいます。昭和35年(1960年)のローマオリンピックで銅メダルの田中聡子選手は、子どもの時分、この湧水プールで猛練習したそうです。この湧水は冷たくて冬の練習は非常に大変だったことでしょう。